関西大学環境都市工学部・江川直樹研究室×天の川プロジェクト Dec/2014
関西大学国際活動事例集
《カンボジア、カンポンプロック村の実測調査と継続的な村の変容調査》
2014年某月某所。
関西大学教授の江川直樹氏と彼が取り組んでいるカンボジアのプロジェクトに関してそれまでに多くの事を聞き及んでいたが、プロジェクト開始から10年の節目を迎えることを知り、その調査活動に敬意を抱くとともに、カンボジアの水辺環境において「何かできないか」と考え、現地カンポンプロック村でのいのり星の放流を江川氏に持ちかけたのがキッカケであったと記憶している。
詳細は、添付の資料を参照して頂くのですが、最も興味を引いたのは「カンボジアの中央にトレンサップ湖という東南アジア最大の湖があり、水域面積が大きく変動することから「伸縮する湖」として知られている。浸水期(秋)の水域面積は渇水期(秋)の水域面積の3倍以上にもなり、水位も8m以上も上昇する(調査報告書より)」
このような激しく変化する水辺環境に適応したカンポンプロック村の集落や独特な水辺景観に興味を覚えたのをいまでも鮮明に記憶している。
関西大学江川研究室と天の川プロジェクトのコラボレーションは、学生たちが春(渇水期)の調査時に村長に提案説明し課題を確認しつつようやく許可をもらう等、事前のさまざまな経緯を経て、浸水期(例年よりは水位が低かったが)である2014年11月にカンポンプロック村に「いのり星」を放流することで、今までにないユニークな水辺の夜間景観を創り出すことができた。ほぼ電化されていない集落の落日はとても美しく、優しいその借景は「いのり星」の放つ青い光とともにカンプンプロック村と江川研究室の交流の歴史に「光」を添えたように感じた。
天の川プロジェクトの標榜する《人、水、光、地域》が創り出してくプロセスを、江川研究室の院生・学生とカンボジア・カンポンプロック村の方々と共有できたことに感謝するとともに天の川プロジェクトの活動の歴史に刻むことが出来たのは望外の喜びとなった。
天の川プロジェクト・代表 原野芳弘
天川村洞川温泉「山上川灯りプロジェクト」
2018年1月27日(土)奈良県吉野郡天川村洞川温泉 山上川/龍泉寺 -6℃(午前9時)
天川村洞川温泉「山上川灯りプロジェクト」
大峰連峰が見渡せるほどの快晴。同プロジェクトの準備も順調に進み、天川村役場・洞川区・観光協会・旅館組合などの地元有志連合の方々の協力で当日を無事迎えることができました。
午後3時から護摩木(いのり星放流券含)の受付が始まり、午後5時より龍泉寺による内陣護摩焚きを合図に、境内の古池にいのり星が順次放流され、池と本堂などで構成される龍泉寺に青い光が徐々に満ちてくる。一般参加の方々も山系からの湧水「龍の口」前に設けられた放流場所より一つ一つ祈りを込めて放流する様は、霊峰大峰山系が優しく受け止めいるように感じます。龍泉寺古池から発した湧水は山上川に注ぎ、いのり星を青く光らせ、一筋の光の帯を描き始め、徐々にその数を増やしながら渓流特有の水の流れを「青の光」を通じて可視化する。夜の帳も降り、いのり星の青い光が川面の積雪に反射し、川面全体を薄く浮かび上がらせ、水の流れと川辺の景観を一層浮き上がらせているように見える。
山上川を彩るいのり星の青の世界の一方で、大峰講の宿場としてその歴史は古く、参道両側には行者の宿として純和風木造建築の旅館や民宿が軒を連ね洞川温泉郷を形成している。青から一転して和風の暖色系行灯や提灯、両側の旅館から参道に漏れる灯が独特な景観を創り出している。
大峰連峰山上岳を源に発する名水百選「ごろごろ水」が創り出す水系、古くから大峰講が形成してきた純和風木造建築の温泉郷、そして光が交わい溶け合った時間が創り出すした「特別な夜」となつた。
天の川プロジェクト 2018年第一弾
奈良県吉野郡天川村山上川を舞台に、2018年1月27日(土)に「天川村×天の川プロジクト」の邂逅が実現します。
天川村公式HPコピー ~天のくに 木のくに 川のくに~ 天川村(てんかわむら)の魅力を伝える素晴らしいコピーです。昨年の年末に実施に向けての調査及び試験放流を行い、天川村のスタッフとの協議を経て実施する運びとなりました。
天の川(あまのがわ)プロジェクトと名付け、活動を開始してから約10年。ずっと気になる存在であり、尚かつ紀州半島のほぼ中心に位置する絶好のロケーションに魅了され続けてきました。今回の「山上川灯りプロジェクト」は、大峰山系に水源を発し、天川村洞川温泉を流れる山上川を舞台に、一夜限りの新しい渓流の水辺景観「光の川」を創り出そうとする試みです。
また、大峯山の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)によって創建された名刹・大峰山龍泉寺境内においても「いのり星」が創り出す新しい龍泉寺の夜間景観をも創り出していきます。
天川村冬の観光キャンペーン実行委員会(事務局:天川村地域政策課) TEL0747-63-0321
Amanogawa project season’s greeting 2017~2018
Wishing you a Beautiful Holiday Season and a New Year of and Happiness
2017年も色々な場所でさまざまな人たちとの出会いがありました。
それらの出会いは、各地の素晴らしい水辺と「いのり星」との邂逅という出来事が新しい水辺の景観を創り出してきました。
「兵庫津・光の運河」「平成OSAKA天の川伝説」「王寺町ミルキーウェイ(*試験放流のみ)」「岡崎 泰平の祈り」、それぞれの水辺が「いのり星」を媒介とすることで、日常では見ることのできない、その場所でしか感知しえない「一夜限りの水辺景観」を創り出していくのです。
この後、天の川プロジェクト・アニュアル・レポート2017として、詳報をHPにてお伝えしていきますので、ご期待下さい。
岡崎 泰平の祈り2017
愛知県岡崎市・乙川に2017年11月25日17;:00~19:00
中部最大級の「いのり星」が降臨
2015年初回から第3回目を迎えます。
岡崎市泰平の祈り実行委員会準備会の皆様方が乙川の新しい賑わいと魅力あふれる水辺の景観を創り出します。
当日25日(土)17:00~19:00下記URLよりネット配信いたします。
こちらからご覧ください。
https://youtu.be/BwrVJVcw3l8
岡崎 泰平の祈り2017 TVCM
天の川プロジェクト® ヨーロッパ視察
天の川プロジェクトでは、2012年6月、芸術・先端技術・文化などを融合するメディアアートに関する世界的な祭典を主催するアルス・エレクトロニカ(Ars Electronica:以下ARSと記す) から招聘され、プロジェクトメンバーがオーストリアのリンツへと赴き現地のたくさんのクリエイターとの交流を温めてまいりました。
期間中、ARSが運営する「アルス・エレクトロニカ・センター」(Ars Electronica Center)とリンツ市の全面的な協力のもと、今後のヨーロッパでの天の川プロジェクトの活動を視野に、市の中央を流れるヨーロッパを代表するドナウ川で、「いのり星(r)」の試験放流が行われました。
そして、オーストリアの首都ウィーンを訪れ、年に一度ドナウ川周辺で開催されるリバーフェスティバルの視察を行った後、ドイツを経由し、フランス・パリを訪れ、セーヌ川などの舟運事情の視察、現地メディアプロデューサーとのミーティングなどを行うなど、1週間に渡り精力的な活動を行いました。
レポート:岡田トモフミ
アルス・エレクトロニカ(Ars Electronica)とは?
オーストリアのリンツで開催される芸術・先端技術・文化の祭典を主催するアルス・エレクトロニカ(Ars Electronica)は、毎年のフェスティバル(展覧会、パフォーマンス公演、作品上映シンポジウム)のほかに、アルス・エレクトロニカは、メディアセンターや美術館・博物館としての機能を持つ、「アルス・エレクトロニカ・センター」(Ars Electronica Center)を運営。そこには、芸術や技術の未来を研究する機能のある「フューチャーラボ」(Ars Electronica Futurelab)が設けられている。
- アルスエレクトロニカ・フェスティバル2012の公式ホームページ
- フェスティバルのプログラム(PDF・ダウンロード版)には、天の川プロジェクト®が紹介されています。
オーストリア視察レポート
成田を出発して15時間(ドイツ経由)。ようやくリンツに到着です。リンツは、ウィーン、グラーツに次ぐオーストリア第3の都市で工場が多く立地しています。写真中央にドナウ川が見えます。
その昔、モーツァルトやブルックナーなどの多くの偉人がリンツで活躍。今も古い町並みが残っています。
町の中心部にあるハウプト広場。 この広場の周囲には昔のリンツの美しい町並みが残っており、この広場のすぐのところにドナウ川が流れています。 めざすアルスエレクトロニカセンターもすぐそこです。
町の中心部を流れるドナウ川。川幅は約230mと広く、流れはとても速いです。右手奥に有名なコンサートホール「ブルックナー・ハウス」があり、美しい川辺が広がっています。
ドナウ川の川辺にあるレントス美術館。
ちょうどアルスエレクトロニカの対岸にある美しい現代美術館です。
レントス美術館のエントランスにはすでにこのような作品が展示されています。
街中にこんなオブジェが…。
いよいよ、アルスエレクトロニカセンターに到着。
町並みと調和した現代的な美しい建物です。
アルスエレクトロニカ・センターはリンツ市の施設で、運営および活動資金は上オーストリア州および民間セクターから拠出されているそうです。活動テーマはアートとテクノロジーの融合です。
今回我々天の川プロジェクトを招聘していただいたフェスティバルディレクターMartin Honzik さん(写真奥中央)を中心に、アルスエレクトロニカ・フューチャーラボで活躍する日本人アーティスト小川秀明さん(写真奥左)も交え、ARSが手がけるメディアアートフェスティバルでの天の川プロジェクトの可能性について協議を行いました。
アートとテクノロジーの融合を目指したARSフェスティバルのコンセプトがとても興味深いです。
天の川プロジェクト®のメンバーからは、プロジェクトの活動テーマや、いのり星®のコンセプトについてプレゼンテーションを行いました。
代表:原野芳弘
プロジェクトマネージャー:岡田トモフミ
海外担当:御厨浩一郎
国境を越え、とても有意義なミーティングになりました。ヨーロッパに天の川プロジェクトのよき理解者ができてとても光栄です。
(写真には写っておられませんが、ARSフューチャーラボで活躍される日本人アーティスト小川絵美子さん、大変お世話になりました。)
近い将来、ヨーロッパでのいのり星®放流実現にむけて互いに協力しあうことを約束しました。
いのり星®ドナウ川試験放流レポート
▼いのり星®ドナウ川試験放流レポート(動画版)はこちら
川幅約230mのドナウ川。 ARSの全面的な協力でいのり星®の試験放流を行いました。試験ということで放流数は50個と少ないですが、海外で初の試みに胸が高鳴ります。川辺は美しいランドスケープが広がります。
数カ国の国をまたいで流れる国際河川であるドナウ川では、ホテルが動いているような豪快な旅客船が行き交います。
時刻は20時過ぎですが、外はこんなに感じで明るいです。試験放流は陸上チームとボートチームに分かれて行いました。
時刻は21時過ぎ、試験放流の準備開始です。桟橋にスタンバイ中の原野代表。
ARSが用意した小型ボートにみんなで乗り込みます。
ご協力いただいた船長さん。
機嫌よくスイスイと流してくれました。
ボートの舵がまるで車のハンドルのようでごくカッコ良かったです。
さあ、いよいよ出発進行!
ARSのローランド氏がすごく楽しいそうです。
夜の10時近くになってようやく日没です。
夕暮れの中、ボートは所定の位置へと疾走します。
写真中央に写るいのり星®
まだ明るいので光は目立ちません。
人の走る速さくらいのスピードで流れていきます。
陸上では他のスタッフによって、いのり星®の移動距離や速度の変化などが観測されていきます。
ボートチームは手際よく回収作業を行います。もちろん、オーストリアでも日本同様に全個回収です。
やり方は日本と同じですね。やはり釣道具の網が登場しました。
網ですくってくれてるARSのスタッフは、すごく楽しそうです。
何度も何度もテストを繰り返します。
一旦回収が終われば猛スピードで上流に向かいます。
みんなとても楽しそう。
日本でもオーストリアでも男子はこういうことに燃えます。
橋の上から、川辺から、複数地点で観測します。
ドナウ川から見るリンツの美しい夕焼け
試験放流の後、ARSのビデオクルーから取材を受ける天の川プロジェクト®のメンバー。
プロジェクトへの熱い想いを語り合いました。
◇◆◇
ウィーンに視察
ARSとの打合せの合間をみて、オーストリアの首都ウィーンに視察に行きました。こちらはウィーンのシンボルであるシュテファン大聖堂。
ハプスブルク家の歴代君主のお墓があるほか、アマデウス・モーツァルトの結婚式が行われ、また葬儀が行われた聖堂としても有名です。
本当に美しいウィーンの街並み。
穏やかな時間が流れています。
近くには有名なウィーンのオペラ座などがあり、まさに芸術の都です。
ウィーンに来ても我々はやはり川が気になります。
この時期丁度、年に1度のリーバーフェスティバルが開催されていましたので足をのばしてみました。
写真はドナウ川から迂回する運河です。
運河の中央には、この時期だけのフローティングの橋が渡されていて、両岸から大勢の人が往来していました。運河を渡るだけでもワクワクします。
一日中のんびりと川辺ですごすウィーンの人々。
ここで「いのり星®」浮かべると…。
ついつい夢が膨らみます。
フランス視察レポート
4日間のオーストリア滞在の後、プロジェクトメンバ一行は河川視察と現地メディアプロデューサーとの打合せのために、フランス・パリを訪れました。シャルル・ド・ゴール国際空港内ターミナル。
いかにもフランス的なつくりです。ここからパリ市内へとくり出しました。
まずはセーヌ川の視察です。
川辺には、たくさんの親水エリアが設けられており、市民の憩いの場として古くから親しまれています。
川面との距離がとても近く、とても豊かな環境です。
普段日本の都市河川に見慣れてる我々にとってはうらやましい限りです。これぞまさに水の都ですね。
ご覧の場所は、シテ島の東端。
セーヌ川の川べりをさかのぼっていくと、いろんな船に出会います。
この船にはガーデニングが施されているので、おそらくお住まいなのかもしれません。
このとき時刻は午後8時30分すぎ。
まだまだ明るい川面には、たくさんの遊覧船が行き来しています。
沢山のお客さんが乗船されており、みんなとっても楽しそうです。
遊覧船の種類の多さに驚かされます。
それぞれとてもユニークで個性的です。
あちらこちらに船着場があります。 その数の多さには圧倒されてしまいます。
いったいいくつの舟運さんがいらっしゃるのでしょうか…。
日本の都市河川の様に、潮汐の影響による干満差が無いセーヌ川では、船が直接接岸できるということも、この様な観光舟運の発展の大きな理由なのかもしれませんね。
シテ島の中央付近、ちょうど大阪の中ノ島のようなところです。
ついついいのり星®を流してみたくなります。
ノートルダム寺院が見えてきました。
天の川の借景になれば最高ですね。
大きな橋の下を、これまた大きな遊覧船が通ります。
すごくギリギリな状態で通過するので、思わずぶつからないのか心配になります。
この操舵テクニックには脱帽です。
それにしてもかっこいい遊覧船です。
中は高級レストランになっているよで、正装した人たちが沢山乗っていらっしゃいました。
とても絵になる豪華船です。
シテ島の西端より南に下るとにぎやかな繁華街です。
竹下通りの様な賑わいです。
午後9時頃、これから繰り出す人たちでこの後さらにごったがえします。
翌日、お目当ての場所へと向かいました。
セーヌ川の辺に佇むエッフェル塔。
このランドマークを借景に是非!、いのり星®の放流を実現したいと思っています。
広さ、流れ、周囲の導線など、いのり星®を放流するには最高のロケーションです。
エッフェル塔のすぐまえにある船着場。
大型遊覧船停泊しています。
いのり星®のオペレーションにも最高の環境ですね。
潮汐による干満差が無く、直接接岸できる手軽さはやはり魅力ですね。
いつの日か、この場所で放流を!
その後、パリ市内を見下ろせるモンマルトルの丘へと向かいました。
大都市パリの全景。 「セージ川×天の川プロジェクト®」の実現を改めて心に誓いました。
パリにお住まいで世界中で活躍されているメディアプロデューサーの方とお会いできました。
プロジェクトのよき理解がここパリにも増えました。
いよいよこれから本格的に、「セージ川×天の川プロジェクト®」へと取り組んでいきます。 お楽しみに!