天の川プロジェクト® ヨーロッパ視察
天の川プロジェクトでは、2012年6月、芸術・先端技術・文化などを融合するメディアアートに関する世界的な祭典を主催するアルス・エレクトロニカ(Ars Electronica:以下ARSと記す) から招聘され、プロジェクトメンバーがオーストリアのリンツへと赴き現地のたくさんのクリエイターとの交流を温めてまいりました。
期間中、ARSが運営する「アルス・エレクトロニカ・センター」(Ars Electronica Center)とリンツ市の全面的な協力のもと、今後のヨーロッパでの天の川プロジェクトの活動を視野に、市の中央を流れるヨーロッパを代表するドナウ川で、「いのり星(r)」の試験放流が行われました。
そして、オーストリアの首都ウィーンを訪れ、年に一度ドナウ川周辺で開催されるリバーフェスティバルの視察を行った後、ドイツを経由し、フランス・パリを訪れ、セーヌ川などの舟運事情の視察、現地メディアプロデューサーとのミーティングなどを行うなど、1週間に渡り精力的な活動を行いました。
レポート:岡田トモフミ
アルス・エレクトロニカ(Ars Electronica)とは?
オーストリアのリンツで開催される芸術・先端技術・文化の祭典を主催するアルス・エレクトロニカ(Ars Electronica)は、毎年のフェスティバル(展覧会、パフォーマンス公演、作品上映シンポジウム)のほかに、アルス・エレクトロニカは、メディアセンターや美術館・博物館としての機能を持つ、「アルス・エレクトロニカ・センター」(Ars Electronica Center)を運営。そこには、芸術や技術の未来を研究する機能のある「フューチャーラボ」(Ars Electronica Futurelab)が設けられている。
- アルスエレクトロニカ・フェスティバル2012の公式ホームページ
- フェスティバルのプログラム(PDF・ダウンロード版)には、天の川プロジェクト®が紹介されています。
オーストリア視察レポート
成田を出発して15時間(ドイツ経由)。ようやくリンツに到着です。リンツは、ウィーン、グラーツに次ぐオーストリア第3の都市で工場が多く立地しています。写真中央にドナウ川が見えます。
その昔、モーツァルトやブルックナーなどの多くの偉人がリンツで活躍。今も古い町並みが残っています。
町の中心部にあるハウプト広場。 この広場の周囲には昔のリンツの美しい町並みが残っており、この広場のすぐのところにドナウ川が流れています。 めざすアルスエレクトロニカセンターもすぐそこです。
町の中心部を流れるドナウ川。川幅は約230mと広く、流れはとても速いです。右手奥に有名なコンサートホール「ブルックナー・ハウス」があり、美しい川辺が広がっています。
ドナウ川の川辺にあるレントス美術館。
ちょうどアルスエレクトロニカの対岸にある美しい現代美術館です。
レントス美術館のエントランスにはすでにこのような作品が展示されています。
街中にこんなオブジェが…。
いよいよ、アルスエレクトロニカセンターに到着。
町並みと調和した現代的な美しい建物です。
アルスエレクトロニカ・センターはリンツ市の施設で、運営および活動資金は上オーストリア州および民間セクターから拠出されているそうです。活動テーマはアートとテクノロジーの融合です。
今回我々天の川プロジェクトを招聘していただいたフェスティバルディレクターMartin Honzik さん(写真奥中央)を中心に、アルスエレクトロニカ・フューチャーラボで活躍する日本人アーティスト小川秀明さん(写真奥左)も交え、ARSが手がけるメディアアートフェスティバルでの天の川プロジェクトの可能性について協議を行いました。
アートとテクノロジーの融合を目指したARSフェスティバルのコンセプトがとても興味深いです。
天の川プロジェクト®のメンバーからは、プロジェクトの活動テーマや、いのり星®のコンセプトについてプレゼンテーションを行いました。
代表:原野芳弘
プロジェクトマネージャー:岡田トモフミ
海外担当:御厨浩一郎
国境を越え、とても有意義なミーティングになりました。ヨーロッパに天の川プロジェクトのよき理解者ができてとても光栄です。
(写真には写っておられませんが、ARSフューチャーラボで活躍される日本人アーティスト小川絵美子さん、大変お世話になりました。)
近い将来、ヨーロッパでのいのり星®放流実現にむけて互いに協力しあうことを約束しました。
いのり星®ドナウ川試験放流レポート
▼いのり星®ドナウ川試験放流レポート(動画版)はこちら
川幅約230mのドナウ川。 ARSの全面的な協力でいのり星®の試験放流を行いました。試験ということで放流数は50個と少ないですが、海外で初の試みに胸が高鳴ります。川辺は美しいランドスケープが広がります。
数カ国の国をまたいで流れる国際河川であるドナウ川では、ホテルが動いているような豪快な旅客船が行き交います。
時刻は20時過ぎですが、外はこんなに感じで明るいです。試験放流は陸上チームとボートチームに分かれて行いました。
時刻は21時過ぎ、試験放流の準備開始です。桟橋にスタンバイ中の原野代表。
ARSが用意した小型ボートにみんなで乗り込みます。
ご協力いただいた船長さん。
機嫌よくスイスイと流してくれました。
ボートの舵がまるで車のハンドルのようでごくカッコ良かったです。
さあ、いよいよ出発進行!
ARSのローランド氏がすごく楽しいそうです。
夜の10時近くになってようやく日没です。
夕暮れの中、ボートは所定の位置へと疾走します。
写真中央に写るいのり星®
まだ明るいので光は目立ちません。
人の走る速さくらいのスピードで流れていきます。
陸上では他のスタッフによって、いのり星®の移動距離や速度の変化などが観測されていきます。
ボートチームは手際よく回収作業を行います。もちろん、オーストリアでも日本同様に全個回収です。
やり方は日本と同じですね。やはり釣道具の網が登場しました。
網ですくってくれてるARSのスタッフは、すごく楽しそうです。
何度も何度もテストを繰り返します。
一旦回収が終われば猛スピードで上流に向かいます。
みんなとても楽しそう。
日本でもオーストリアでも男子はこういうことに燃えます。
橋の上から、川辺から、複数地点で観測します。
ドナウ川から見るリンツの美しい夕焼け
試験放流の後、ARSのビデオクルーから取材を受ける天の川プロジェクト®のメンバー。
プロジェクトへの熱い想いを語り合いました。
◇◆◇
ウィーンに視察
ARSとの打合せの合間をみて、オーストリアの首都ウィーンに視察に行きました。こちらはウィーンのシンボルであるシュテファン大聖堂。
ハプスブルク家の歴代君主のお墓があるほか、アマデウス・モーツァルトの結婚式が行われ、また葬儀が行われた聖堂としても有名です。
本当に美しいウィーンの街並み。
穏やかな時間が流れています。
近くには有名なウィーンのオペラ座などがあり、まさに芸術の都です。
ウィーンに来ても我々はやはり川が気になります。
この時期丁度、年に1度のリーバーフェスティバルが開催されていましたので足をのばしてみました。
写真はドナウ川から迂回する運河です。
運河の中央には、この時期だけのフローティングの橋が渡されていて、両岸から大勢の人が往来していました。運河を渡るだけでもワクワクします。
一日中のんびりと川辺ですごすウィーンの人々。
ここで「いのり星®」浮かべると…。
ついつい夢が膨らみます。
フランス視察レポート
4日間のオーストリア滞在の後、プロジェクトメンバ一行は河川視察と現地メディアプロデューサーとの打合せのために、フランス・パリを訪れました。シャルル・ド・ゴール国際空港内ターミナル。
いかにもフランス的なつくりです。ここからパリ市内へとくり出しました。
まずはセーヌ川の視察です。
川辺には、たくさんの親水エリアが設けられており、市民の憩いの場として古くから親しまれています。
川面との距離がとても近く、とても豊かな環境です。
普段日本の都市河川に見慣れてる我々にとってはうらやましい限りです。これぞまさに水の都ですね。
ご覧の場所は、シテ島の東端。
セーヌ川の川べりをさかのぼっていくと、いろんな船に出会います。
この船にはガーデニングが施されているので、おそらくお住まいなのかもしれません。
このとき時刻は午後8時30分すぎ。
まだまだ明るい川面には、たくさんの遊覧船が行き来しています。
沢山のお客さんが乗船されており、みんなとっても楽しそうです。
遊覧船の種類の多さに驚かされます。
それぞれとてもユニークで個性的です。
あちらこちらに船着場があります。 その数の多さには圧倒されてしまいます。
いったいいくつの舟運さんがいらっしゃるのでしょうか…。
日本の都市河川の様に、潮汐の影響による干満差が無いセーヌ川では、船が直接接岸できるということも、この様な観光舟運の発展の大きな理由なのかもしれませんね。
シテ島の中央付近、ちょうど大阪の中ノ島のようなところです。
ついついいのり星®を流してみたくなります。
ノートルダム寺院が見えてきました。
天の川の借景になれば最高ですね。
大きな橋の下を、これまた大きな遊覧船が通ります。
すごくギリギリな状態で通過するので、思わずぶつからないのか心配になります。
この操舵テクニックには脱帽です。
それにしてもかっこいい遊覧船です。
中は高級レストランになっているよで、正装した人たちが沢山乗っていらっしゃいました。
とても絵になる豪華船です。
シテ島の西端より南に下るとにぎやかな繁華街です。
竹下通りの様な賑わいです。
午後9時頃、これから繰り出す人たちでこの後さらにごったがえします。
翌日、お目当ての場所へと向かいました。
セーヌ川の辺に佇むエッフェル塔。
このランドマークを借景に是非!、いのり星®の放流を実現したいと思っています。
広さ、流れ、周囲の導線など、いのり星®を放流するには最高のロケーションです。
エッフェル塔のすぐまえにある船着場。
大型遊覧船停泊しています。
いのり星®のオペレーションにも最高の環境ですね。
潮汐による干満差が無く、直接接岸できる手軽さはやはり魅力ですね。
いつの日か、この場所で放流を!
その後、パリ市内を見下ろせるモンマルトルの丘へと向かいました。
大都市パリの全景。 「セージ川×天の川プロジェクト®」の実現を改めて心に誓いました。
パリにお住まいで世界中で活躍されているメディアプロデューサーの方とお会いできました。
プロジェクトのよき理解がここパリにも増えました。
いよいよこれから本格的に、「セージ川×天の川プロジェクト®」へと取り組んでいきます。 お楽しみに!
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